Keyの誇る人気作の一つ『Rewrite』。そのスマホアプリ版『Rewrite IgnisMemoria』が今年から稼働している。美少女ゲームメーカーの中でも、ソーシャルゲームのノウハウを最も積み重ねてきたKey(ビジュアルアーツ)らしく、近年のスマホアプリのトレンドを研究し、またKeyならではの作品性も重視したゲームに仕上がっている。本作の開発経緯やロンチの手ごたえ、また今後の予定についてプランニングディレクター・武内グン氏、チーフディレクター・もちもち先生氏、サーバーサイドチーフエンジニア・紺野瀬那氏、シナリオディレクター・たいこもちこ氏にお話を伺った。

Rewrite IgnisMemoria

リリース日 :2017年2月6日
プラットフォーム:android版/iOS版
利用料金:基本無料(一部アプリ内課金有り)


ゲーム性と物語性を備えた『Rewrite』のソーシャルゲーム

2011年6月24日にKeyから発売されたPCゲーム『Rewrite』を原作に制作されたソーシャルゲーム、それが『Rewrite IgnisMemoria』だ。本作は『Rewrite』のTVアニメ第2期放送に合わせた2017年2月にサービスオープン。アニメに加えて直前のコミックマーケット91での大きな告知展開も相まって、公開直後から多くのファンが本作を楽しんでいる。
そんな『Rewrite IgnisMemoria』の魅力の一つは、従来のソーシャルゲームの枠に収まらない、高いゲーム性だ。ほぼすべてのストーリーを、バトルで進めていく本作だが、スキル性のバトルは戦術性が高く、攻略しがいのある、歯ごたえ抜群のゲームとなっている。もちろん難易度調整モードを用意するなど、幅広いユーザーへの対応も怠りなし。この辺りはゲーム作りのノウハウを多く持つビジュアルアーツならではだ。
さらにKey作品原作ということで、シナリオも充実。オープン時には50本が実装され、さらに同数のシナリオが準備済み。かつ新規シナリオも今後順次実装予定とのこと。これまたKey作品ならではの魅力的なキャラクターと合わせ、本作の大きなセールスポイントとなる。
ユーザー同士のコミュニケーションは、「部室」というユーザーごとの部屋をベースに展開。こちらも今後随時強化されていく。
これまでもソーシャルゲームをリリースしてきたビジュアルアーツだが、本作はまさに蓄積されてきたノウハウを盛り込んだ1作といえる。攻略要素とドラマ性という魅力を備えたソーシャルゲーム、ぜひお試しあれ。
 

アニメ放送に合わせてのオープンで、開始直後から反響あり


―――『Rewrite IgnisMemoria』(以下、RewriteIM)が2月にオープンしました。現段階での手ごたえを教えてください。

武内グン(敬称略/以下同):正直、我々が予想した以上でした。今の主流のソーシャルゲームからは外して作ったので受け入れられないかもしれないとも思っていたのですが、そこを楽しんでいただけているなというのは強く感じているところです。

―――ビジュアルアーツさんはこれまでも自社でソーシャルゲームを開発してきましたが、そのきっかけはどういったところだったのでしょう。

もちもち先生(敬称略/以下同):弊社がソーシャルゲームを開発し始めたのは3~4年前なのですが、やはり今後はソーシャルゲームの存在が大きくなっていくだろうと考えていたことがあります。今回は『Rewrite』のアニメがスタートするタイミングでもありましたし、それに合わせての『RewriteIM』という流れですね。ただ、アニメ放送に合わせるということは、スタートを遅らせることができないということですよね。ですから最初からあれもこれも実装するよりも、今後の展開を積極的にやっていこうと考えました。とはいえ公開時にユーザーさんに満足していただけるものにはしたい。年明けのオープンに向けて、年末はスタッフもとても頑張ってくれました。

―――確かにアニメと合わせてとなると、各所の調整もあるでしょうから遅らせるわけにはいきませんよね(笑)。

もちもち先生:テレビのCMもありましたから、そこで出してしまった以上は遅らせられないという緊張感もありました。

「遊べるゲーム」のこだわりとアイデアはボードゲームから


―――『RewriteIM』の内容についてですが、先ほど武内さんから「今の主流のソーシャルゲームからは外して」とありました。そのあたりは企画当初から決められていたんですか?

武内グン:全部を新しい企画にするわけではないですが、『RewriteIM』ならではというゲームは作りたいね、という話は企画の初期段階から出ていました。

―――ゲームとしては攻略要素を盛り込んだ、いわゆる「遊べるゲーム」であることが印象的ですよね。

武内グン:ビジュアルアーツ内でも、我々のチームは平均年齢が低くて、普段からソシャゲー以外にもさまざまなゲームを遊んでいます。そういったゲームから刺激を受けて、単純にボタンを押すだけではなく、遊べる要素があったほうが面白いとなったんです。
紺野瀬那(敬称略/以下同):余談ですが、昨年以降うちのチームでボードゲームが流行っていまして、『RewriteIM』にはそこからの影響も大きいんです。これまでのソーシャルゲームは「ゲームに不慣れな人でも手軽に遊べる」というコンセプトのものが多かったと思うんですが、『RewriteIM』は「ゲーム好きがじっくり遊べるゲームという要素もほしいね」という気持ちがあったんです。
もちもち先生:昼休みとか、社内でもゲームをしているので、開発末期のほかのチームからは嫌な顔もされていましたけどね(笑)。

―――お話を伺うだけで楽しそうですが、当然お手軽なゲームを求める『Rewrite』ファンもいますよね。ゲームバランスの設定は難しかったのではないでしょうか。

武内グン:そこは実際にボードゲームを遊んで、短時間で面白いと感じたものや、長かったと感じるのはどんなゲームでどれだけの時間かというのを調べて検討しました。その中から「短時間で遊べて、かつゲームとして面白いもの」というのを絞り込んでいきました。
紺野瀬那:とはいえソーシャルゲームとしては難しいと思うんです。なので「オート」「セミオート」「マニュアル」と難易度ごとに3つのモードを用意しました。ゲーム性が苦手な人はオートモードで手軽に遊んでもらえますし、ちょっと慣れてきたらスキルを選べばそれ以外は自動でやってくれるセミオートモードで遊んでもらえればと思っています。そして細かい戦術を自分で決めたい人にはぜひマニュアルモード。がっつりゲームにハマってもらえると思います。初心者から上級者まで楽しんでもらえるようには作っていますので、幅広いユーザーさんに楽しんでもらえると思いますし、末永く遊んでほしいと思っています。

オープン時に50本のシナリオ実装。今後も随時公開予定


―――そのゲーム性に加えて、本作の魅力の一つが多彩なストーリーですよね。

たいこもちこ(敬称略/以下同):原作が『Rewrite』なので、シナリオは絶対に必要だと思っていました。シナリオの魁先生には、だいぶ無理を言いましたね(笑)。
もちもち先生:初期実装では50ストーリーですが、すでにその段階で100本のストーリーは制作してありますので、順次公開していきます。もちろん追加のストーリーも計画しています。
たいこもちこ:例えば誕生日のストーリーなど、季節に応じたものなどですね。やりたいことはたくさんあるのですが、最近の魁先生は僕たちを見ると嫌な顔をするんですよ(笑)。まあ、無茶を承知でお願いしていく予定です。

―――ユーザー同士の交流などはいかがでしょう。

紺野瀬那:ソーシャル要素として、自分だけの部室を作れるのと、ほかのユーザーの部室を見に行けるというのがあります。そして部屋には「さすがっす!」ボタンがあります。これはその部屋を見て「いいね」と思ったら押してもらおうというボタンで、これをきっかけにコミュニケーションを取ってもらえたらいいなと思っています。

―――部室を飾る家具などは、どのように用意するのですか?

紺野瀬那:原作にもあった「小鳥のアトリエ」を『RewriteIM』にも実装しました。ここで集めた素材を合成して家具を作ることになります。何ができるかはわからないので、そこはお楽しみ要素ですね。
武内グン:すでに攻略掲示板を作ったユーザーさんもいて、そこにゲームの攻略情報とか合成結果などをアップしてくれているんです。それを見たユーザーさんたちとの交流などもあるみたいで、ゲームの外でも交流が広がっているのを感じています。オープンして間もないのにそこまで遊んでいただけているのは、本当にありがたいですね。

ユーザー・コミュニケーションを強化し、原作の魅力を伝えられるゲームに


―――今後はどのような展開をお考えですか?

武内グン:まずはユーザーさん同士が交流できる部分を、もっと増やしていきたいと思っています。現状部室への行き来が中心になっているのですが、今後はギルドを作成して大きなモンスターを倒すというようなことも考えていまして、それに付随してギルド内での連絡方法──例えばチャットですとかスタンプを送付しあうとか、そういうコミュニケーションツールを充実させていきたいと考えています。

―――単なるソーシャルゲームの枠に収まらない展開まで期待してしまいます。

武内グン:もちろんソーシャルゲームの部分を強化しつつですが、より『Rewrite』という原作ゲームの魅力を伝えられるような展開というのを考えていきたいですね。
紺野瀬那:現状は『Rewrite』を知っている方を中心に遊んでもらっていると思いますが、ゆくゆくは『Rewrite』を知らないソーシャルゲームが好きなお客様にも遊んでもらえるようにしていきたいです。そして『RewriteIM』から『Rewrite』を知った、他のKey作品やビジュアルアーツを知ったというふうになると嬉しいですね。そうなれば、『RewriteIM』も単なるソーシャルゲームの枠にとどまらない作品へと成長していけると思います。

―――例えばPCへの展開などは考えられているのですか?

紺野瀬那:さすがにPC展開をするのには、開発スタッフが足りません(笑)。
武内グン:なにせ一桁の人数でやっていますから(笑)。もちろんやりたい気持ちがないわけではないのですが、そこはちょっと……まだまだですね。
もちもち先生:いろいろ操作するのでスマートフォンだと画面が小さいと感じるかもしれませんが、そういう方はぜひタブレットで遊んでください。

―――了解しました。様々な展開を期待したいと思います。

武内グン:ビジュアルアーツとしては、まだまだソーシャルゲームの部門は弱いところなのですが、今後はKey作品にとどまらず、様々な作品を、新しいアイデアをどんどん盛り込んだソーシャルゲームとして出していきたいと考えています。ぜひ今後の私たちの展開に注目してください。