10月29日(土)に2回目が開催された美少女ゲームメーカー合同ライブイベント「EGG -Extra Games Garden 2016-」。前回から増加して全43曲が披露されたライブはチケット完売で大盛況。また新たな試みとして28日(金)には前夜祭も開催。秋に開催されるイベントとして存在感を増しつつある。今回はイベントレポートと、EGG実行委員会・プロデューサーのオカザワ氏へのインタビューを掲載する。

 「EGG -Extra Games Garden 2016-」

4時間半におよぶライブに見る、世代交代と音楽業界のさらなる隆盛

10月29日(土)、東京・品川ステラボールにて美少女ゲームメーカー合同ライブイベント「EGG -Extra Games Garden 2016-」が開催された。同イベントはクラウドファンディングを利用したライブとして2015年に初開催され、本年が2回目の開催。ALcot、eRONDO、ういんどみるら14ブランドが名を連ね、出演アーティストは17名におよんだ。

今回の新たな試みは、前日となる28日(金)に「前夜祭」を開催したことが挙げられる。前夜祭は「DJ&トークイベント」と位置づけられており、出演ブランドによる人気作品のメインテーマをミックスした楽曲、アーティストによる歌唱、そして各メーカーの広報が登壇してのトークという三本柱で構成。通常のライブイベントとは異なる、新たな楽しみ方を提供しようという姿勢が感じられた。アルコールが解禁されていたのも前夜祭のみの特徴だ。金曜日とはいえ平日開催ということもあり満員御礼とまではいかなかったが、それがかえって幸いして、ゆったりとパフォーマンスに耳を傾けられる雰囲気があった。

続く29日(土)に開催されたライブイベントはチケットもソールドアウトの大盛況。佐藤ひろ美による『はぴねす!』の主題歌「ZERO」で幕を開け、yozuca*による『D.C.Ⅲ With You ~ダ・カーポⅢ ウィズユー~』の「未来パレード」、霜月はるかによる『見上げてごらん、夜空の星を』の「Star Map」など、人気作品が誇る名曲に熱い声援が飛びかった。また、事前に発表されていなかったシークレットゲストとして山崎もえとmilktubが出演した。milktubは観客にもさすがに疲れが見えはじめるライブ開催後3時間が経過したあたりで登壇し、スチームを噴出す銃を片手に『聖鍵遣いの命題』の「久遠の冀求」を熱唱。カンフル剤のように、観客を再び奮い立たせた。そこからは『サノバウィッチ』の「恋せよ乙女」で"美少女ゲームシンガー"デビューを果たした米倉千尋、大御所のKOTOKO、榊原ゆいと磐石のセットリストが続き、会場は熱狂に包まれた。
アンコールでは、Ceuiが歴代オーガスト作品のボーカル曲のメドレーを熱唱。2曲目はyozuca*とrinoが『D.C.~ダ・カーポ~』の「ダ・カーポ ~第2ボタンの誓い~」を披露。本ライブイベントは「今、美少女ゲームを楽しんでいる人たちに向けて、最近の作品の曲を多く取り入れる」というコンセプトではあるが、この日一番といってもいい声援はこの曲に向けられており、金字塔ともいえる名作の底力が伝わってきた。

時間が押してしまったのか、アーティストたちはMCもそこそこに次々に歌を披露していったが、そんな中でも印象的だったのがmilktubによるトークだ。今年いっぱいでアーティスト活動に終止符を打つという佐藤ひろ美に業界を代表しての感謝状授与をするなど、"引退ライブ"としての側面を本ライブに付加。アンコール3曲目には2人のコラボによる「ロックンロール エロゲ EGG Ver.」を披露した。美少女ゲームへの感謝の気持ちとして歌詞に「ありがとう」が何度も飛びかう、milktubが言うところの"電波ソング"ではあったが、その言葉に佐藤ひろ美へのねぎらいも込められているようで、演出の妙にうならされる展開を味わえた。

「これからも美少女ゲーム業界には関わっていきたい、支えていきたい」としながら佐藤ひろ美が"卒業"していく一方で、「アーティスト活動は20年を超えていますが、美少女ゲームのシンガーとしてはまだ1年生です」と笑う米倉千尋の姿も印象的。こうした世代交代・人の変遷がありつつも、美少女ゲームの音楽界隈はまだまだ盛り上がっていくのだろうと、希望を抱かせるライブイベントとなった。

開演時間は4時間半にもおよび、曲数も昨年開催時の35曲から43曲へと増加した「EGG -Extra Games Garden 2016-」。公式Twitterでは2017年の開催も告知されたので、これからのさらなる飛躍と盛り上がりに期待したい。

オカザワ氏インタビュー「EGGはさらに大きくなります」


―――2回目の「EGG」も大盛況に終わりました。お疲れさまです。

(敬称略/以下同) ありがとうございます。前回は比較的余裕があったのですが、今回は会社の仕事も増えていてEGGとの両立は大変でしたね。その中であれもこれもと欲張って、すべてをやりきった感はありますが、さすがに次の日は一日中寝ていました(笑)。

―――前回EGG開催後にも取材させていただきましたけど、その際、「夏冬のコミケ、春のcharacter1と美少女ゲーム関連イベントがあって、秋にEGGが定着したら」とお話されていましたが、認知はかなり広まったのではないでしょうか。

 前回「新しい美少女ゲームメーカー合同ライブ」と言われても、実際にどういう内容のイベントになるのか、わからない人も多かったと思います。でも実際にEGGを見て、その盛り上がりを見たら、伝わったと思うんですね。今回初参加のLoseさんは前回のライブを見ていただいたことがきっかけとなりました。また次回に向けて、同じようにお願いしているメーカーもあります。ユーザーさんも口コミで広まっているようで、今回と前回のセットリストを見比べて盛り上がっているのを見ると、いい流れで認知度が高まっていると感じます。

―――今回は本番の前日、28日(金)に前夜祭も開催されましたね。

理由の一つは先ほどお話がありました、秋の美少女ゲームイベントとしてのお祭り感を演出したかったこと。もう一つは、ライブ本番が4時間以上と長いため、リハーサルや機材の準備等を考えるとどうしても二日間借りる必要があったんですね。せっかく前日も使えるのだから、何かやってみようと前夜祭を企画したんです。

―――DJパフォーマンスやアーティストのライブ、メーカー広報のトークと、お酒OKのイベントということもあって、本番とはまた違った面白さを感じました。

前回の反省点として、メーカー合同イベントなのにメーカーの色が薄いなと感じていたんです。でも普通のライブ中にメーカーの人が出てくることはやりたくなかった。そこで前夜祭のノリならアリになるんじゃないと組み込んでみました。

―――DJパフォーマンスでは、多数ボーカル曲のオイシイ部分を連続で楽しめて、面白いスタイルだなと。

ライブ本番で披露できる曲はどうしても限られてしまいます。DJイベントという形式をとって、本番とは違う形で美少女ゲームソングを楽しんでもらおうと、ああいう形になりました。ただDJイベントとしてステラボールは、大きすぎる"ハコ"だったと思います。知り合いのDJに詳しい人には「贅沢すぎる」と言われました(笑)。

2回目の開催でより進行がスムーズに


―――前回の35曲もかなり多かったですけど、今回はさらに増えて43曲は凄いですよね。

 4時間半近くやりましたけど、それでも時間は足りなくて、MCなんかは巻いているんです。アーティストはトークも込みでの出演が普通ですし、宣伝などもあると思います。でも申し訳ないのですが、そこは早めに進めていただくようお願いしました。

―――二回目ということで、進行もスムーズになったんでしょうか。

一回目って何も決まっていないから、ある意味、何でも組み込むことができるんですね。色んな人の希望・思惑も組み込むことも可能で、ライブの形はいかようにも変えられる。その結果、既存イベントと変わらない内容になる場合もある。それが嫌だったので一回目は自分に任せてくれるメーカーで固めたところはあります。「このライブはこういう方針です」と選曲や構成を決めて、開催した。その実績があるから、それ以外の希望があっても「こういうライブですから」と説明することができます。また、やる事も決まっているので1年間の作業内容・時期や、明文化しておくべき情報も整理されていきました。ただ、新作がいつ頃発売なのかを確認しながら進めるのですが、発売延期があるともったいないことになるのも悩みどころではあります。去年のシークレット曲『サクラノ唄』(枕)は発売直後でベストタイミングだったんですけどね。

―――アンコールのmilktubと佐藤ひろ美さんの歌も良かったです。

「ロックンロールエロゲ」では、歌詞にメーカー名が並ぶところを、佐藤ひろ美さんがお世話になったメーカー名にアレンジされましたね。今回は佐藤ひろ美さんが引退されるというシチュエーションもあって、凄く盛り上がりました。それだけに「次はどうしよう?」というのが今の悩みですけど。

さらに大きな会場に、新たに出演するメーカーも


―――それは楽しみです。

そもそもライブ内容と会場規模が合っていないんですよね。可能な入場者数に対して、やっている内容が多すぎる。会場を大きくしてお客様を増やすことで、これまでは物販も含めてトントンだったのが、自分の働き分くらいは黒字が出せるイベントになりそうです(笑)。

―――3回目の開催も発表されました。

来年やります、とは発表させていただきました。時期としては秋、できれば10月に固定できればと考えています。あと2回とも完売になっていて、それ自体はありがたいことなのですが、ライブに行きたくても行けない人がいるのは問題で、次回はもっと大きな会場を使用する予定です。

―――ライブ内容もまた大きくなりそうですね。

一回目のころから大きくしたいとは考えていたんです。先ほどもお話しましたが、一回目のライブが盛り上がったのを見て、新たに参加するメーカーも増えてきましたし、ユーザーさんの認知度も高まっている。二回目の反応はまだこれからですけど(取材はライブ二日後)、あの会場にいた人100%かはわかりませんが、多くの人は感動してくれたんじゃないかなと。あと、今までは面識のあるメーカーさんが中心でしたが、もっと多くのメーカーにお声がけをしていくつもりですので、その際はよろしくお願いいたします。