今や美少女ゲーム市場でも定番の人気シリーズとなったWaffleの『巨乳ファンタジー』。11月24日に発売される『巨乳ファンタジー3if』は、シリーズ8年で8作目となる。ファンタジー作品は売れにくいと言われる美少女ゲームではあるが、ここまで長いシリーズに成長した『巨乳ファンタジー』の面白さとはどこにあるのか。最新作『巨乳ファンタジー3if』の魅力と共に、有限会社センキ・ディレクターの姫ノ宮レイさんのお話を伺った。

取材にご協力いただいた姫ノ宮レイ氏。Waffleでは様々な作品を手掛けており、本作ではディレクターを担当している。

8年で8作目の長期人気シリーズ

ブランド Waffle
定価 9,504円
発売日 2017/11/24
ジャンル ADV
原画 Q-Gaku、深泥正
シナリオ 鏡裕之

天界や冥界までを巻き込んだ物語

古代ローマであって、我々の知るローマではないローマ帝国の一都市ドロニウムで事件が起きる。メデューサの呪いが町に禍を及ぼしてしまったのである。その禍を止めたのが、召喚された無名の神・ユリナス。報酬として与えられた初めての快楽を満喫するユリナスだったが、人間界の滞在時間が切れたユリナスは冥界に帰還することになるのだが……。人気シリーズ最新作。『巨乳ファンタジー3』との違いを楽しめる1本だ。

8年で8作品の『巨乳ファンタジー』はWaffle+巨乳マイスターならではの企画

―――11月24日に『巨乳ファンタジー3 if』が発売になりますが、このシリーズも長いシリーズになりましたね。

姫ノ宮(敬称略/以下同):『巨乳ファンタジー』が2009年10月23日発売ですから、今年で8年目になりますね。

―――当初の経緯を教えてもらえますか?

姫ノ宮:企画の鏡裕之さんに弊社代表が前々から「企画とシナリオをやってもらえないか」と声をかけたのが最初です。当初は「巨乳凌辱もの」の企画を提案したのですが、鏡さんから「巨乳のファンタジーもの」という提案をいただいて。当時そのような企画は少なかったですし、鏡さんも当時は、現代を舞台にした作品が多かったので「面白いかもしれない」と始めました。

―――『巨乳ファンタジー』は世界設定や国家間の関係など、様々な設定が作りこまれていますが、これはどちらの提案ですか?

姫ノ宮:これも鏡さんですね。うちとしては単純に気楽な抜きゲーを考えていました。鏡さんからも、当時リーマンショックなどもあって暗い時代背景がある中で、お気楽な感じで主人公が成り上がっていく気持ちいい作品を作ってあげたいという気持ちがあったみたいで、シナリオにも今の若い人たちへのメッセージを盛り込みたいって言ってくれていたんですね。そのメッセージに力を持たせるために世界設定にもこだわって作ってくれたんだと思います。

―――でも、その当時の市場では「ファンタジーものは厳しい」といわれていましたが、ユーザーさんや販売店さんには、どのように受け止められたのでしょうか?

姫ノ宮:発売当初はそれほど注目されていたわけではありませんでした。Waffleの出荷ベースを考えても、ごく平凡な数字でした。ただプレイした方が「面白い!」って発信してくれて、そこから後伸びした形ですね。

―――その反応がシリーズ化の手応えになったのでしょうか?

姫ノ宮:そうですね。我々としても『巨乳ファンタジー』を作っているときに、「この作品はいけそうだ」という手応えはありました。それと鏡さんと作品を作っていく中で、クリエイターとしてこだわりをきちんと作品作りに反映させられる人だということを感じたんです。それで、ぜひ次の作品でも一緒にお仕事をしたいということになって、それが『巨乳魔女』(2010年)に繋がるんです。このシリーズで印象的なのが、主人公・リュートが、ヒロインを差し置いてすごい人気になっていること。アリスソフトさんの「ランス」シリーズもそうですが、主人公が人気の作品というのは、シリーズとして愛されている作品だと思いますので、それがここまで長く続けられている理由だと思います。

―――Waffle作品を見ると、『巨乳ファンタジー』以外にもシリーズ展開している作品が多い印象があります。

姫ノ宮:Waffleの考え方として「作品を使い捨てにしたくない」というのがあります。それと、決して大きくはない美少女ゲーム市場で我々がやっていけているのは、やはりゲームを遊んでくれるファンのおかげだと思うんです。そんなファンの方にゲームを気に入ってもらえて、もっとその世界で楽しみたいって思ってもらえるのであれば、できるだけ応えたいと考えています。

ノベライズの独自設定がゲームに!?「if」シリーズは業界でも稀有な企画

―――『巨乳ファンタジー』の展開ですが、本編と『外伝』、そして『2』からは『if』というタイトルがあります。これはどのような展開なのでしょう。

姫ノ宮:元々『外伝』はファンディスクとして考えていたんです。ですが鏡さんから「作るなら『巨乳ファンタジー』の世界や規模感を感じてもらえる内容にしたい」と提案があって、物語の続編として出すことになりました。

―――なるほど。では『if』は?

姫ノ宮:こちらは偶然の産物です。『巨乳ファンタジー』のノベライズがあったのですが、基本的にはゲームの物語を踏襲しながらも、結末を変えたんですね。そこにユーザーさんがとてもポジティヴな反応をしていただけて、「これってどうなっちゃうの?」と興味を持ってもらえたんです。なので、その後のノベライズでも原作ゲームとは違う展開などを盛り込むようになったんですが、それがどんどんエスカレートして、ノベライズは独自設定や独自展開が増えていきました。そうなるとユーザーさんはノベライズなのに新しい作品を楽しむようなドキドキ感を得られますし、開発スタッフも「ここまでやって大丈夫なの?」って思いながら、そっちの展開が楽しみになってきていたんです。ならばノベライズで生まれた設定を使って、逆輸入的にゲームを作ってみようと企画されたのが『巨乳ファンタジー2if』なんです。

―――それにしてもゲームのノベライズでそこまでするって大胆ですよね。

姫ノ宮:普通、ゲームのノベライズは出版社と契約したライターさんが担当すると思うのですが、『巨乳ファンタジー』シリーズは鏡さんご自身が手掛けているからこそできたんだと思います。「『巨乳ファンタジー』のすべてを表現できるのは自分だけだ」と強い自負を持たれている方ですから。

―――ということは『巨乳ファンタジー3if』は『巨乳ファンタジー3(以下、『3』)』のノベライズをベースに作られた作品なのですか?

姫ノ宮:実は当初は『外伝』を考えていました。『3』の続編ですね。ただ、すでに出ていたノベライズが、その後の広がりを感じさせる終わり方だったんです。ならば、その設定を生かそうと『外伝』ではなく『if』となりました。公式HPではリブートと表現していますが、すでに遊んだ人には本編との違いを楽しんでいただき、遊んでいない人にも新作として楽しんでもらえる作品を目指し、制作していきました。

―――内容についてお願いします。

姫ノ宮:『3』は「リュート主人公とは違う世界観で楽しんでもらいたい」というところから始まりました。そこで出てきたのが主人公は神様で、ローマをモデルにした世界観だったんです。ただ、主人公は神様なんですが、物語は人間界だけで展開するんですね。その世界をさらに広げて、『巨乳ファンタジー3if』は女神がヒロインになって、天界や冥界までを巻き込んだ物語になっています。その中で「主人公がお気楽かつ調子よく成りあがっていく」というコンセプトの物語を楽しんでもらいます。

―――新規ヒロインは二人ですね。

姫ノ宮:ウェヌスとアテナです。『3』のヒロインも登場しますが、設定が全く同じというのは一人もいません(笑)。

―――新ヒロイン二人のキャラデザインでのこだわりを教えてください

姫ノ宮:毎回原画のQ-Gakuさんが魅力的なキャラを上げていただけるのですが、今回苦労されていたのは「いかに神様らしさを出すか」。人間のヒロインとはランクが違いますので、人間界ヒロインにはないような神々しさを出すのが大変だったみたいです。

―――グラフィック面ではいかがですか?

姫ノ宮:やはり天界の神々しさ、神秘的な感じをどう出すかに苦労しています。女神ヒロインも一緒ですね。

―――鏡さんからの指示もあるのですか?

姫ノ宮:塗りに関しては任せてもらえるのですが、原画段階でのおっぱいの描き方……歪み方や潰れ方などの指示は多いです。やはり巨乳にこだわりがある方ですから。

―――Waffle作品としてはエロシーンへのこだわりもあると思うのですが。

姫ノ宮:これはシリーズを通して一貫していることなのですが「おっぱいの魅力を感じられるシーンにする」というところですね。

鏡裕之作品の持つオリジナルな強みで巨乳ブームにも独自の魅力で勝負

―――ここ数年、巨乳作品が非常に増えています。他作品との差別化を意識されているところはありますか?

姫ノ宮:うーん……、鏡さんは美少女ゲーム業界に巨乳ブームが来る前から巨乳にこだわりのある作品を作られてきましたから、『巨乳ファンタジー』は時代に先んじられたアドバンテージがあると思うんですよね。さらに「お気楽にサクセスできる」物語も、異世界転生もののテイストを先取りしていると思うんです。そういうシリーズなので、差別化するというより、元々持っている『巨乳ファンタジー』シリーズの魅力をきっちりと盛り込んで作っていこうと考えています。鏡さんが持っているおっぱいへのこだわりや、サクセスを描く上での背景となる政治や世界情勢の知識、人間の感情の動きを描く技術とか、簡単に真似られるレベルではないんです。そうした部分が作品の魅力になっていると思っていますから。

―――その背景にある政治や世界情勢の知識についても、決して作品の中で存在を主張するわけではない作り方も印象的です。

姫ノ宮:基本的にはお気楽なサクセスストーリーなので、そこで難しいうんちくを語ってもユーザーさんは喜ばないですよね。どうすれば楽しんでもらえるか、ユーザーさんのことを常に意識されている鏡さんだからこその作り方だと思います。

―――今後の販促展開もお聞かせください。

姫ノ宮:店舗さんに人気シリーズということで特設コーナーを作ってもらうお話をいただいています。今後は作品内容をわかりやすく紹介するムービーや体験版を公開していく予定です。それと『巨乳ファンタジー』シリーズは人気作ということで、各作品を破格版として出しています。『巨乳ファンタジー3if』発売前に遊んでいただけると、より作品のこともわかると思いますので、こちらもよろしくお願いします。

―――『巨乳ファンタジー3if』のターゲット層はやはりシリーズのファンでしょうか。

姫ノ宮:もちろんそこも大事ですが、今回はシリーズ作品をプレイしていない方にも遊んでほしいですね。サクセスの中でヒロインと良い関係になって行く気持ちよさの中で、世界やキャラ設定、ドラマの作り込みがしっかりしている、深みのある作品だと思っています。特に「if」は本編を知らなくても楽しめる作りになっていますので、多くの方に知っていただければと思います。