『お嬢様の半分は恋愛で出来ています!』でデビューするLuxury Tiaraは、アダルト要素中心のLuxuryが新原画家とタッグを組み、その魅力を生かした作品作りを展開するために設立された。女装主人公に新たなグラフィック表現など、ネクストン全体を見ても新機軸を打ち出しているが、それはウェブ展開にも及んでいる。そんなLuxury Tiaraの作品作りと告知展開について、ディレクターのかんたか氏にお話を伺った。

▲取材にご協力いただいたかんたか氏、お気に入り?のお面とともに。

お嬢様の半分は恋愛で出来ています!

ブランド:Luxury Tiara 
定価:8,424円
発売日:2017/05/26
ジャンル:麗しのお嬢様たちと秘めた恋の取り引きAVG
原画:カグユヅ、夏彦
シナリオ:たにかわたかみ、他

謎の学園に潜入する女装主人公

巨大組織のエージェントとして活躍する美貌の青年・来栖川創は、ある日、組織のボスより鳳鐘女学院潜入の命令を受ける。かくして完成する、絶世の美少女エージェント・来栖川創。果たして彼―― 否、彼女の数奇な任務の行方やいかに。お嬢様学院に潜入した女装主人公と、それを取り巻く美しいお嬢様たち。そんな彼女たちの抱える屈託を解消していくストーリーも見どころな1本だ。

原画家の魅力を生かすための新ブランドLuxury Tiara設立

―――Lucury Tiaraというブランドは、どういった経緯で設立されたんですか?

かんたか(敬称略/以下同):これまではLuxuryという、もっとエロ寄りのブランドでゲーム作りをしていたんです。そんな中でイラストレーターのカグユヅさんとお話をする機会があって、一緒に仕事がやれそうだということになりました。ならばエロメインのLuxuryと方向性の違うブランドから出すべきということでLuxury Tiaraを立ち上げました。今回の企画が始まったのが2年前なんで(笑)、予想外に時間がかかってしまっていますが、なんとか形になってきました。

―――デビュー作『お嬢様の半分は恋愛で出来ています!』は女装主人公ものです。このジャンルに挑戦した理由を教えてください。

かんたか:女装主人公というよりも、お嬢様ものですね。ひとつはシナリオのたにかわたかみさんがそちらのゲームを作ってこられたということ。もうひとつは、カグユヅさんの絵は華もあるんですが癖もあるということで、企画も一癖あるものにしたほうがいいかな、ということですね。

―――近年、女装主人公は人気ジャンルですね。

かんたか:そうですね。女装主人公もので人気のensembleさんも3月に新作を出されますし。企画スタートが2年前だったとはいえ、その意味では間違いではなかったかなと思います。

―――そんなデビュー作ですが、キャラクターの多さも注目点だと思います。

かんたか:これも企画当初に考えていたことですが、本作を皮切りに続編を出していきたいと考えているんです。そのために最初から世界観を膨らませておきたかったので、舞台を形作るキャラを多く用意したんです。

―――では、いわゆる攻略ヒロインは……。

かんたか:姫星アリカ、ポリーナ・コッペリア、一ツ橋紅緒の3人です。ただ、他キャラにもエッチシーンはあります。

―――新ブランドですが、開発のポイントに置かれたのはどういう内容ですか?

かんたか:まず外せなかったのが「主人公が一番かわいい」という点。それとお嬢様ものというテーマから誤解されないよう「百合」というキーワードは使わないことですね。

―――現在公開されているメインビジュアルは、主人公とヒロインの2人だけですね。

かんたか:ゲームの物語を突き詰めていったら、こういう絵になりました。主人公とアリカ、2人の物語がメインになりますので。

―――告知の部分では、「おじょますプレストーリー」を公式HPで公開しています。

かんたか:これはゲーム本編前の物語で、主人公が女装して学院に潜入するまでの戸惑いなどを見てもらうことで、かわいらしさを感じてもらおうというものです。

―――ここで主人公が女装して女学院に潜入する理由なども描かれるのですか?

かんたか:そうですね。まあ、そこはきっかけのようなものなんですけど、もちろん学院にも問題はありますし、主人公はそれを最終的に解決していくことになります。そのあたりはゲーム本編で面白く描ければいいなと思っています。

―――公式サイトのギャラリーを見ると、複数キャラが登場するイベントCGが多いですよね。女装主人公作品ならではと思います。

かんたか:イベントCGはすべて自分がラフを切って描いてもらっていますので、構図のバランスなどは気を付けました。大変だったのは生徒会室。ほとんどのキャラが登場するCGで、これはラフも悩みましたし、原画を描くほうも大変だったと思います。まあ、ラフを切ること自体は大変ではありませんでしたけど、どんなふうにそれぞれのキャラをかわいく見せるか、ということですね。

―――確かにこれだけのキャラを1枚に収めるのは大変そうですね。

かんたか:イベントもそうですけど、それぞれのキャラのかわいさを演出しようとすると、立ち絵なども増えていくんですよ。スタッフには苦労をかけたなと思います。今回は7800円なんですが、フルプライス作品と比べてもボリューミーに見えると思いますよ。にぎやかな作品になりました。

―――逆に7800円という値付けだと大変なのではないかと思いますが(笑)。

かんたか:Luxury作品が6800円だったので、「それより豪華ですよ」という意味を込めての7800円なんです。フルプライス作品を意識したわけではないですね。

体験版はブラウザでプレイ可能 ウェブ告知展開の方法も模索

―――公式サイトではエッチCGが公開されていませんよね(取材は3月上旬)。

かんたか:エッチシーンは体験版公開と同時に出していきます。実は『お嬢様の半分は恋愛で出来ています!』のCGはネクストンとしても新しい塗り方をしているんです。こういう塗り方のほうが原画を生かせると判断しましたが、まずは作品の雰囲気を知ってもらうために、一般CGばかりを公開しました。エッチCGもいい出来なので、公開すれば評価していただけると思っています。

―――現段階での反応はいかがですか?

かんたか:店舗さんは、先日特典用のイラストを各店舗さんにお送りしたので、それからだと思います。ユーザーさんからの反応はツイッターなどで見られますけど、実は攻略ルートのない九条ヶ峰千咲が一番人気みたいなんですよね(笑)。なので、単に発売延期をするだけでは申し訳ないので、彼女のエッチシーンをweb用に制作することにしました。結果、エッチシーンがないのは、藤原赤穂と清城りおんだけになりました(笑)。

―――やはり告知はウェブが中心ですか?

かんたか:店舗での展開は流通さんにお任せしていますので、こちらはwebですね。ツイッターは影響力があるので、リツイートキャンペーンを計画しています。

―――web展開といえば、先ほどお話に出たプレストーリーやサイドストーリーなどはブラウザでプレイできる仕様ですよね。体験版も同じですか?

かんたか:同じです。そこはシームレスにしていきたいんです。インストールするのが面倒くさいと思われてしまいますから。今後はゲーム業界としても、ゲームのブラウザ上でのプレイを本格的に考えていかなければいけないと考えています。

―――現状、ブラウザプレイで演出の再現などはいかがですか?

かんたか:ゲームとほぼ同じことができるようになっていますので問題はないですね。もちろん体験版をDLにすれば数字は見えますけど、それ以上にプレイしてもらわなければ意味がないですからね。DLしてインストールという手間が省けることでプレイしやすくなるなら、そこは気にしていかなければいけないと考えています。

「好きなものを作れる」土壌を生み出すネクストンならではの展開を

―――今後の展開ですが、先ほどシリーズ展開を考えているといわれていましたよね。

かんたか:すべては『お嬢様の半分は恋愛で出来ています!』のセールス次第というのがありますけどね(笑)。もしも作るとしたら、1年後くらいになるかと思います。

―――シリーズ展開するとなると今回ルートのないキャラで、ということになりますか?

かんたか:いえ、もしも続編を作るとすれば、また新しいキャラを用意すると思います。今回作ったキャラでルートを作ることはないですね。新キャラ……例えば学年が違うキャラクターたちでやるとか、そういう形になるのではないでしょうか。本作のキャラは、あくまで今回の作品を作るために必要だったキャラであるということなので。

―――ちょっともったいない気もします(笑)。

かんたか:まあ、3年生は卒業しちゃいますから(笑)。とはいえ、まだ今後について具体的には考えていないですね。まずは『お嬢様の半分は恋愛で出来ています!』を完成させてからです。

―――市場が厳しいといわれる中での新展開、期待しています。

かんたか:売れるようになるといいですねえ。ただ、僕自身はそこまで悲観していないんです。『FGO』が人気ですが、評価されているのはシナリオの面白さと立ち絵の良さだと思うんです。これはもともと美少女ゲームも持っていた魅力ですよね。ではなぜ売り上げにつながらないかというと、そのほかの部分……インストールの手間とかシームレスでないとか、そういう手軽さの部分がスマートフォンやタブレットのゲームに負けているわけですよね。そこを認識してゲームを作れれば、お客さんがいないわけじゃないんだと思っています。

―――その意味では、Luxury Tiaraではゲーム開発だけでなく、見せ方なども模索していくという形ですね。

かんたか:立ち上げから2年もたってしまったので、業界を取り巻く形も大きく変わりましたからね。そこに対応するために意識して動いていきたいと考えています。その第一歩として、体験版のブラウザ提供ということになります。

―――新ブランド、新ジャンル、さまざまな新しい試みと、すべてを考えると開発は大変だったようですね。

かんたか:正直大変でした。よくここまで来たな、と。開発期間が2年かかったことを考えても、ネクストンじゃなければできなかったと思います。その土壌を作ってくれているのが、鈴木社長なんですよね。

―――なるほど。

かんたか:クオリティーは絶対ありきという前提で話をしたときに、やっぱり自分が好きなものを作らないと売れないですよね。マーケティングして「これが売れているからそれを作る」として、それで売れなかったらそこで終わりなんです。自分がエロゲーでやりたいことを盛り込んで作って、それを共感してもらえる人に買ってもらうじゃないと、続かないんです。その土壌を作り、届けてもらえる。業界を見渡してもネクストンは驚くほどまっとうな会社だと思いますし、だからこそブランド同士がお互いをフォローしあうこともできる。もちろんそのためには各ディレクターが社内の各ラインの動きを把握する必要はありますが、それができている風通しのいい会社だと思います。そこがネクストンの強みですね。