2月24日に『タンテイセブン』をリリースするDigital Cuteは、2008年のデビューから個性的な5本のゲームを世に送り出してきた。『タンテイセブン』はそれらラインナップの中では一見異質に見えるが、作品作りへのアプローチは共通するものがあるという。そんなDigital Cuteの作品作りのこだわりとは何か。最新作の魅力と合わせてかけなし氏にお話を伺った。

▲取材にご協力いただいたかけなし氏。似顔絵のイラストは最近、原画のこうぐちもと氏に描いてもらったもの、とのこと。

タンテイセブン

ブランド Digital Cute
定価 通常版 9,504円 豪華限定版 20,304円
発売日 2017/2/24
メディア DVD-ROM
ジャンル ミッション解決型探偵ADV
原画 こうぐちもと、えきもち
シナリオ 嘘屋 佐々木酒人

特殊能力を駆使して事件を解決

主人公と仲間たちが結成した超常現象を研究するサークル“超妍”。彼らの赴くところには不可思議な事件が発生する。そして同時に、本校の周囲で猟奇事件が発生していた。Digital Cute 新作は、異能力探偵AVG。主人公たちは様々なミッションをクリアしながら、物語の本筋を解決していく。Digital Cuteならではのかわいくてハードなエッチも健在だ。

8年で6本の寡作ブラント全ての要素でこだわりを通す制作方針

―――Digital Cuteの立ち上げはいつ頃になりますか?

かけなし:2008年です。それまでも別のゲーム会社にいたのですが、自分の作りたいゲームを作るために自分で立ち上げました。

―――ブランド名に由来はあるのですか?

かけなし:特にエピソードめいたものはないのですが、二次元と三次元の橋渡しというか、二次元なのに実際に三次元に存在するのではないか、と思ってもらえることを大事にしています。

―――具体的には、どういう作品でしょう?

かけなし:リアクションするゲームですね。いわゆる「紙芝居」と呼ばれるようなゲームではなく、ユーザーがリアクションしたら、それに合わせて結果が変わる。そしてそれが無数にあるゲーム……もともとゲームというのはそういうものだったと思うんです。そこに映画などの手法を取り込んで今の形になったと思うんですが、そういうゲームとしての部分を取り戻していきたいと考えています。例えばデビュー作の『むすめーかー』は普通の2Dゲームですが、調教パートでは鞭を打てばその数だけ鞭跡がつきますし、ろうそくをたらせば肌にろうが乗る。そういうインタラクティブなものを目指して作っています。

―――ユーザーが能動的にゲームを遊べる、という作品作りですね。

かけなし:漫画でも映画でもなく、それがゲームだと思うんですよ。作品作りとしては、そこを一番大事に考えています。

―――作品作りには時間がかかりそうです。

かけなし:その結果が8年で6本というタイトル数なんですが(笑)。自分の意にそぐわないゲームを作りたくないんですよ。そうなると当然すべての部分に目を通したくなるし、結果的にラインを増やすことはできなくなりますから。ただ、僕と同じ志を持つ人がいれば、ラインは増やせますけどね。今、その準備も進めているところです。

―――ブランドのターニングポイントになった作品はどれになりますか?

かけなし:いうほど作品数はないのですが、手応えを感じたのはやはりデビュー作の『むすめーかー』ですね。『それゆけ!ぶるにゃんマンHARDCORE!!!』も面白かったかな。PSP版も自社制作したんですが、大変でしたがそのおかげでいろいろな経験もできました。

―――『それゆけ!ぶるにゃんマンHARDCORE!!!』はクリエイター人気も高いですよね。これはなぜでしょう?

かけなし:一風変わったゲームなので面白がられているのではないかと思います。クリエイターは様々なゲームに触れていますから。それと、ゲームを作る時には、必ず企画者として気持ちを込める努力はしています。それが伝わりやすかったのかなとも思いますが。

―――その意味では、商品というより作品を作られている意識なのでしょうか?

かけなし:それを言うと、いろんな方に叱られてしまうんですけど(笑)もちろん作品を作っているという意識もありますが商品を作っているという意識も強いです。僕はゲーム作りをサービス業だと考えています。クリエイターって言っていますけど、遊園地のアトラクションを考える感じですね。やりたいことはやるけれども、サービス業としての姿勢は大事だと思います。例えばお化け屋敷を作るときに、とことん怖いものを作ることもできると思うんです。でも、それだと楽しめるお客さんは本当に限られてしまう。それを楽しめる範囲で作ることが大事だと思うんですよね。ゲームも同じで、自分が面白いと思うものをユーザーさんに遊んでもらえるように、キャッチボールしながら作っていくのが大事だと考えています。遊んでもらう人の顔を想像しながら作らないと、独りよがりになってしまうので。「お金をもらって楽しませる」ということは、常に念頭に置いておかなければいけないですよね。
 

―――そういった部分をユーザーに伝えるのは、どんどん難しくなっていると感じます。

かけなし:メディアが少なくなっていますよね。そこで自分が作るものの魅力をどう伝えていくか。今は動画配信について考えているところです。それと『タンテイセブン』は漫画ですね。作品紹介も文章より絵のほうが読みやすいでしょうし、動画であれば「ながら」でチェックできますから。

特殊能力をゲームシステムで表現広報展開では漫画を活用

―――そんな最新作『タンテイセブン』ですが、過去作品のラインナップと比べると、これまでにないカラーに感じます。

かけなし:確かに雰囲気は変わっているんですが、「自分が面白いと思うものを作る」と「ユーザーの顔を見て作る」というコンセプトは変わっていません。本来僕は『タンテイセブン』のようなちょっとダークなミステリーが好きなんです。なので、18禁要素を生かした探偵ものは、ずっと作りたいと思っていた内容でもありますね。

―――作品内容をもう少し教えてください。

かけなし:作品は全5章なのですが、章ごとに仲間が増えて探偵部として活動していくという流れですね。主人公と仲間には特殊能力があって、それを駆使して事件を解決していくのですが、能力を使うと反動もあるんです。最終的にはその弊害を解決していくというお話になります。

―――現在発表されているだけでも、登場人物は多いですね。

かけなし:そうですね。メインで7人、サブキャラや物語を進めるうえで登場するキャラも含めると、40人くらいになります。やはり探偵ものである以上、キャラが少ないと犯人もすぐにわかってしまいますから、どうしても増えてしまいました。原画のこうぐちもと一人に全て描いてもらうのは難しいので、ほかの原画家さんにもお願いしました。

―――謎解き部分では、システム的な仕掛けもあるのですか?

かけなし:主人公は「シナスタジアグラス」という特殊視界を持つのですが、相手の心の感情が見えるんですね。それを利用して真実かを判断するのですが、言葉の裏にある感情がわかる。ゲーム的には感情ごとに異なる色が表示されるんです。そこに矛盾などを見つけながら本音を引き出したり推測したりします。これは犯人逮捕や事件解決に使えますし、さらにエッチにも使えます。「いやって言っているけど、本当は……」とか(笑)。

―――ゲーム中、常に色が出るのですか?

かけなし:いえ、相手の話を聞いたりする中で、適切なタイミングでユーザーに使ってもらいます。シナスタジアグラスを使うところは集中してもらわないとダメですね。

―――そのあたりが、最初に言われていたユーザーにアクションしてほしいという所になるんですね。

かけなし:ああ、そうですね。例えばエッチシーンでも、普通にクリックするだけで進みますけど、ヒロインが本当にやってほしいことを知ってエッチしてあげるのならば頑張ってください、という感じです(笑)。

―――そういった作品の魅力の部分は、確かにテキストで読ませるだけでは伝わりにくそうですね。

かけなし:その意味での漫画でもありますし、実際に触れてもらえるように体験版も早めに公開したいと考えています。現在鋭意開発中で、年明けには出したいですね。ゲームとしてはミッション受注システムを採用して、ゲーム本筋のメインミッションのほかにサブミッションもたくさん用意したんです。これは会社で働いている方等、一気にプレイ時間を確保できない人のために、短い時間でも解決シーンにたどり着くことができ、小さなカタルシスを感じてもらえるようにと考えました。

―――やりごたえがありそうです。

かけなし:サブミッションはかなりの数がありますので、シナリオ量はかなり大きくなりました。なので、音声収録が大変ですね。でも実際に自分が現場にいて、能力を使って事件を解決している気分になってもらえると思います。やはりPCゲームを作る以上、小説には負けられないと思っているんですよ。遊ぶ環境を整えるだけでも高いお金が必要ですしゲーム本体も高い。だからこそゲームを遊んでよかったと思ってほしいんです。もちろんエロシーンを含めてですが。

―――そこは18禁ゲームならではのこだわりですね。

かけなし:そこは当然ちゃんと作っていかなければいけないと思っています。Digital Cuteの作品は、その部分も安心してもらえるのではないかと思います。それと、今回はエロ以外にも18禁ならではというシーンをこだわって盛り込んでいます。

―――広報展開での仕掛けについても詳しくお話しいただけますか?

かけなし:何度かお話ししていますが、漫画ですね。これは公式サイトに掲載するのですが、『タンテイセブン』を漫画として楽しんでもらうだけではなく、広報としても使いたいと考えています。漫画だからこそ、物語の雰囲気や世界観を伝えやすいと思っています。

―――この漫画は公式サイトのみでの公開なのですか?

かけなし:いえ、ウェブコミック誌などにも掲載してもらえるように調整中です。ただ、内容が18禁なので、そこがちょっと難しいですね。年齢認証のあるウェブコミック誌って、やはり限られてしまうんです。

―――お話を伺うと、やはりこれまでのラインナップとは異質な作品に思えてきます。

かけなし:でも、これまで通り僕が全編を見ていますし、原画家もこうぶちですからね。今までDigital Cute作品を遊んでくれたユーザーさんを裏切る内容ではありません。

―――期待します。今後のご予定などは、いかがですか?

かけなし:現在2本進めているのですが、ひとつはSLGで、もう1本は魔法少女ものでミドルプライスの予定です。それとVRですね。こちらも3Dでひな形は作っています。やはり未来を感じますし、「二次元と三次元の境界をなくす」という自分の作りたい世界でもありますから。魅力は感じますね。

―――それでは最後に、メッセージをお願いします。

かけなし:今後もこれまでにない作品を作っていきます。『タンテイセブン』もこれまでにないゲームになっていますので、ミステリー好きの方、オカルト好きな方、ぜひ楽しんでください! よろしくお願いします!