店頭でのパッケージ販売が美少女ゲーム市場の大きなシェアを占めていた時代は今や昔。店舗販売を中心にしながらも、通信販売やDL販売など、美少女ゲームをユーザーに届けるための方法は多種多様に及んでいる。そんな中、今年7月からDMMは、定額遊び放題という新しい美少女ゲーム配信サービス「DMM GAMES PREMIUM」(一般向けR18ゲーム)をスタートさせた。その詳細について、株式会社DMM,comの榊原樹氏にお話を伺った。


 新ランチャーDMM GAME PLAYERが可能にした定額サービス

7月6日からサービスがスタートしたDMM GAMES PREMIUM。このサービスは、30日間2,980円で、対象のゲームが遊び放題となる。遊べるゲームの数は250タイトル以上、ラインナップは美少女ゲームだけでなく、コンシューマーでも出ているような、一般PCゲーム作品も含まれる。かつ、タイトルの入れ替えを行わず、随時更新していくため、遊べるゲームの数は、どんどん増えていくシステムでかなりお得だ。
 
様々な面で新たな試みであるDMM GAMES PREMIUMだが、どのような経緯で企画が行われたのだろうか。今回の取材に対して株式会社DMM.comの榊原樹氏は、その企画の立ち上げについて以下のように説明してくれた。
「DL販売を行う中で常に抱えていた課題が『旧作をどう売上につなげていくか』でした。そのためにキャンペーンなど、様々な施策を仕掛けていた中、露出の拡大を狙ってオンラインゲームのランチャーであるDMM GAME PLAYERでも美少女ゲームの販売、プレイを可能にしました。すると既に発売からかなりの時間が経過している旧作が、割引をしない通常価格で、結構な本数の売上があがったんです。その時に、『DMM GAME PLAYERを利用しているユーザーは、オンラインゲームをプレイするユーザーが中心であり、美少女ゲームを遊んだことのない新しいユーザー層ではないか?』と考えました。そして、DMM GAME PLAYERにいる、美少女ゲームを遊んだことのないユーザーをターゲットにするならば、『手軽に、より多くの作品に金額を気にせず触れてもらい、沢山のブランド、ジャンルを知ってもらえる』定額制サービスがマッチすると思ったので、DMM GAMES PREMIUMの企画が立ち上がりました」
 
さらにDMM GAME PLAYERの機能が定額制を後押しした。
「定額制サービス開始の障壁に、既にDLされ、ユーザーのローカルPCに保存されている様々な作品を、どうやって30日ごとに起動制御するか、がありました。それを解決したのもDMM GAME PLAYERです。このランチャーには、ストア機能とゲーム起動を制御するランチャー機能の両方が備わっている為、ランチャーを通じて、ユーザーが定額サービスに加入しているか、解約しているか、を管理し、起動を許可したり、起動不可にしたり、することが可能になりました。その場でサービスに入り、すぐに遊び放題が利用できる、という環境であるDMM GAMES PREMIUMは、DMM GAME PLAYERありきのサービスとも言えるんです」
 

 鍵を握る作品ラインナップの拡充 旧OS作品も新OS対応で人気に

その場ですぐにゲーム遊び放題、という画期的なサービスということもあり、とても好調な様子だ。
「具体的な数字はお話しできませんが、非常にいいスタートを切れたと思います。想定より多くのユーザーに登録していただけました。それだけに、今後はどう継続してもらえるかが課題です」
 
そのためにも重要なのはゲームのラインナップだろう。当初から榊原氏は、「対象作品に上限は設けず、入替なども行う予定はない」と説明。
「現段階ではとにかくタイトルラインナップの拡充が大事だと考えています。登録ユーザーからは、ぬきげーが多いので、純愛系の作品やシナリオゲーを増やしてほしいという要望があるので、そういうご意見は、随時反映していくつもりです」
 
実際にユーザーに遊ばれているタイトルにもDMM GAMES PREMIUMらしい面白さが見えた。
「実は、古いOSの時に発売された作品も人気なんです。というのもDMM GAMES PREMIUMの対象ゲームは全て、最低でもWindows7 に対応しているんです。既にパッケージ作品の市場にない “往年の名作”と言われるようなゲームもWindows7以上に対応され、遊び放題!というのがユーザーにとても好評でした。DL販売のほうでもWindows10対応をしたタイトルは好調でしたのでしたので、今後はメーカー様にもOS対応を積極的にお願いしていきたいですね」
 
榊原氏は「買うかどうか迷って見送った作品も、定額で遊べるので、全てのタイトルが一定数起動されております」と捕捉しながら、こんな話もしてくれた。
「主なターゲットが、美少女ゲームを遊んだことのない、オンラインゲーム利用ユーザーなので、サービス開始直後に、定額利用料と同額の、オンラインゲームで利用できるポイントを還元するキャンペーンも実施しました。その結果、狙い通り、多くの新しいユーザーを取り込めたと感じています」
 
DMM GAMES PREMIUMは全年齢向けゲームも遊び放題の対象となっていることが特徴だ。
「全年齢向けのPCゲームが目的で登録されているユーザーの中にも『買うのは控えていたけど、美少女ゲームをやってみたかった』という方がいると思います。オンラインゲームユーザーと同じように、『定額で遊び放題なら、自分に合わなかったゲームを選んで損した気分になることもない』と、お試しで美少女ゲームを遊んでくれています」

それらの総合的な結果として、美少女ゲーム市場に新規顧客が増やせれば……そんな目的がDMM GAMES PREMIUMにはあるのだ。しかも、ユーザー層の違いから、パッケージやDL販売とのすみ分けも見えてきているという。
「もちろんサービスを立ち上げる前は、DL販売を利用していたユーザーが減ってしまうのではないか?という懸念もありました。しかし開始後の数値を追ってみると、対象作品のDL販売の売上が落ちることはなかったですし、中には告知効果があったのか、売上が上がったタイトルすら出てきた。フロア全体の売上も、割引セールの売上が落ちることもなかった。つまりDMM GAMES PREMIUMの客層は既存顧客とは違い、『今は美少女ゲームから離れてしまった層』と『DMM GAME PLAYERを通じてアダルトゲームに興味を持った層』が中心であることが数値によって立証されたと考えています」
 
新規顧客の開拓や、かつての美少女ゲームファンへのアプローチは、美少女ゲーム市場にとって継続的に大きな課題だった。そこにDMM GAMES PREMIUMという定額サービスは、一つの回答を出そうとしている。
では、参加しているメーカーからの反応はどうなのだろうか。榊原氏は営業していく中で、好意的に受け入れられている感触を得ているようだ。
「時間が経過した作品をどのように売っていくかというのは、メーカー様も悩んでいる課題の一つでした。そこに定額制という解決方法を提案したことで、高評価をいただいております。また、作品のIPを長く広く認知してもらうには『遊んでもらうこと』が一番だと考えるメーカー様も多く、私たちもその通りだと思います。その実現の手助けとしてDMM GAMES PREMIUMが機能できたら嬉しいです」
 

 認知度を高め、ランキングも発表 目指すは業界全体が幸せになるサービス

そんなDMM GAMES PREMIUMだが、今後の展望はどのように考えているのだろうか。その質問に榊原氏は「短期的目標としては、認知度の向上です。」と答える。
「そのためには今後も継続的にタイトルを揃え、サービス自体の利便性も高めていく必要があります。また、今後は美少女ゲーム系イベントでの告知も視野に入れています」
 
確かに登録タイトルの拡充は、このサービスの重要課題である。現段階では、毎週金曜日に3~4作品がコンスタントに追加されている。
「現在もメーカー様には営業をかけており、参加検討を含めて数百タイトルは候補に挙がっている状況です。現在は毎週3~4作品の追加ですが、追加タイミングについてはメーカー様の希望を優先して決定していく方針です。なので、今後はより多くのタイトルを一気に登録していくこともありえます。例えば、メーカー様の新作発売に合わせて、告知を兼ねてまとめて登録するなども可能です。メーカー様と協議しながら、臨機応変に対応していきたいと考えています」
 
勿論、ソフトのラインナップ拡充以外の情報も積極的に発表していきたいとのこと。
「例えばランキング。これはできるだけ早めに出していきたいです。ランキングが出ることで、登録ユーザーは『この作品がこんなに遊ばれているのか。だったらちょっと試してみようかな』という気持ちになると思います。もちろんメーカー様にとっても、どんなタイプの美少女ゲームがDMM GAMES PREMIUMで人気なのか分かれば、トレンドの参考になるかと思います」
 
さらに榊原氏は、DMM GAMES PREMIUMと新作の関係についてもアイデアを持っている。
「メーカー様の告知にDMM GAMES PREMIUMを活用してもらうのも面白いと考えています。例えば新作の一部をお試し版として、DMM GAMES PREMIUMに登録したり、前作を登録して、新作のDL販売を紹介したり。DMM GAMES PREMIUMを利用している、これまでのユーザー層とは異なる場所への告知や販促として。使っていただくのも有効だと考えています」
 
新たな試みを精力的に盛り込んだ新サービス、DMM GAMES PREMIUM。自社タイトルの登録の有無に関わらず、こうした新たなアプローチは今後に注目を集める。そのことについて、榊原氏は以下のようにコメントしてくれた。
「まずは無事にサービスを開始できたので、次はより多くのユーザーに知っていただきたいです。単純に定額遊び放題に留まらず、ユーザーに知ってもらって遊んでもらうことで、業界を盛り上げて、メーカー様の新作セールスに繋がるようなサービスにしていきたいですね。『こう使いたい、こういうことをしたい』というご提案をいただいたら、実現できる方法をメーカー様と一緒に模索し、ユーザーからの要望も取り入れて、メーカー、ユーザー、業界にかかわる全ての人が幸せになるサービスにしていきたいと考えています」