5月18日に萌えゲーアワード2016の各賞が発表されてから2か月近くが経過する。もともと「美少女ゲームの販促アプローチ」という意味も持つ萌えゲーアワードだけに、発表された受賞作が販売店等でどのように扱われているかというのは、重要な情報であるはずだ。しかしながら、それについて明確な報告がなされた例は少ない。そこでGAME HEADLINE編集部では、本紙ランキングなどにご協力をいただいているトレーダー、シーガル長町店、パソコンショップMKの3店舗に取材。萌えゲーアワードへの要望を含めて、意見を伺った。


 オリジナルポップと什器で受賞作を展開 SNSで受賞作品告知という試みも

5月、萌えゲーアワード2016の各賞が発表された。大賞はまどそふとの『ワガママハイスペック』が受賞。例年2作品が受賞となる準大賞に『まいてつ』(Lose)、『千恋*万花』(ゆずそふと)、『戦国?恋姫X~乙女絢爛☆戦国絵巻~』(BaseSon)の3作品が選ばれるなど、高いレベルでの結果となった。
 
この萌えゲーアワードの審査委員会には、審査の資料として店舗からのアンケート結果も提出され、ユーザー投票と販売店の意見を総合して審査委員会が受賞作品を決定するというプロセスを取る。販売店からの意見も、小さからざる影響を与えるのだ。では販売店は、萌えゲーアワード2016の結果をどのように受け止めているのか。
 
秋葉原のトレーダーは、各賞発表後に動きがよくなった作品について、「以前から動きがある新作の発表の影響かもしれません」と前置きしながら、キャラクターデザイン賞の『ノラと皇女と野良猫ハート』(HARUKAZE)を挙げる。また、シーガル長町店とパソコンショップMKは共に大賞の『ワガママハイスペック』を挙げてくれた。「話題になった為か問い合わせが増え、販売機会が増えました」(シーガル長町店)とのコメントがあるように、やはり受賞作発表を注目している美少女ゲームユーザーは少なくないということだろう。
 
そんな萌えゲーアワード受賞作品を、特に店頭展開しているというのがシーガル長町店だ。
「受賞作品を一箇所にて展開しております。また、作品がどんな賞を受賞したのか分かりやすくするために○○賞といったPOPを貼っております」というコメント通り、シーガル長町店では手作りポップを用意。受賞タイトルを記したラベルをパッケージに添付し、什器に面置きするというアプローチをとっている(写真参照)。わかりやすいアピール方法であるといえるだろう。
 
しかし、こうした方法は店舗フロアに十分なスペースが必要なのも事実だ。パソコンショップMKも「スペース的に難しい」と語るが、そうした状況の中で「受賞後にはツイッターで受賞作の在庫状況を伝える」等、SNSを利用してのアプローチを行なったという。ツイッターなどのSNSを積極的に活用している店舗は増加しており、それをチェックしているユーザーも増えている。それを積極活用することで、フロア展開をフォローするというのも、今日的な販売店の試みといえるだろう。
 

 店舗展開をサポートする公式ポップ作成への強い要望も

もちろんこうした店舗展開を行なうために、萌えゲーアワード側からもサポートは必至となる。これについても、様々な意見が集まった。
 
「この作品がユーザーのこういった意見でこの賞を受賞したというのがわかるようなミニPOPがほしい」と指摘するのはトレーダー。
「講評みたいな長々しいテキストでは仰々しいので、あくまでツイッターのつぶやきに近い程度の長さで、作品のいいところをわかりやすく伝えられるようなものとか。ユーザーに伝えるならば、やはり一番近しい人たちの評価意見が、一番伝わりやすいんじゃないでしょうか」
ユーザーに最もアピールするのは同じユーザーの意見というのは一面の真実であろう。現行の投票方法にはコメント欄がないが、それを追加することができればユーザーの声を集めやすくなる。販売店にとって大きな販売ツールになるのであれば、一考する価値はあるだろう。
 
「「ファミ通殿堂入り」風のシール。できれば背置きにしても目立つもの」「受賞内容、ならびに受賞理由(審査員やユーザのコメント等。できればその作品の売りが伝わるもの)が記載されたPOP」と語るのはパソコンショップMK。背置きにしても目立つというのは、フロアスペースの限られる販売店にとっては重要だ。ポップに関しても、オフィシャル提供ができれば、店頭で展開する店舗も増えるだろう。オリジナルポップなどを展開するシーガル長町店からも「受賞タイトルが一目で分かるようなPOPがあれば、と思います」という意見が届いている。今後、萌えゲーアワードをより効果的に販売に結び付けるためにも、運営側からのこうしたサービスは重要になってくるのではないだろうか。
 

 求められる年度にこだわらないアプローチ、アワード周知と投票数増加への施策

最後に今回のアンケートに協力していただいた3店舗に、「今後の萌えゲーアワードへの要望」を訊くと、以下のような意見が寄せられた。
 
パソコンショップMKからは「初めて美少女ゲームを購入する人にお勧め(内容・価格なども考慮)の「ビギナーゲーマー賞」という新規の賞へのアイデアをいただいた。
「これは美少女ゲーム好きとして抑えておけという「基礎教養賞(要するに定番タイトルですが)」のような賞を、その年度だけでなく広い期間を対象にして不定期に開催してはどうか」とのこと。現状の萌えゲーアワードは、対象年度に発売された作品のみを対象としている。しかし萌えゲーアワードが始まってから11年。萌えゲーアワードの立ち位置としても、新たなステージで考えることも必要ということだろう。販売促進というだけでなく、新規顧客へのアピールという部分で、より突っ込んだアプローチも重要なテーマといえるだろう。
 
トレーダーからは、アワードのシステムについても積極的な意見をいただいた。
「一日一投票制であること、知っているユーザーが限られてしまっていること。このあたりから偏りがでてしまうのではないかと考えてしまいます。ユーザーへの周知させるのは大変なことではありますが、なにかしらユーザーにメリットをだすなどで参加率をあげる活動などしてもいいのではないでしょうか? あくまで妄想のレベルではありますが、大賞をとったらメーカーさんに頼んでグッズ製作してもらい、投票参加ユーザーにプレゼントとか。1人1票もしくは、ゲーム1本で1票というものに、意味、重みをつけていくのはどうでしょうか?もちろん賞ということではなく、メーカーさんによっては何票(票数が可視化は問題あると思いますのでポイント制とか?)越えたらこんなことしますよ!とか。黒系のタイトルメーカーさんではありじゃないかなと思います」
 

 販売店、ユーザーの意見を柔軟に受け止め進化する萌えゲーアワードに

今回は3店舗にアンケート調査を行ったが、こうした意見を持つ販売店は少なくないだろう。その一方で、アワードと販売店との連携は「密である」というには、まだいくつかの試みを行なう余地があるように感じられる。もちろん美少女ゲームユーザーへの周知も含めて、今後の在り方を積極的に考えていくべきだろう。
 
その上で、過去11年間という期間で運営されていくなかで、アワードも少しずつ形を変え、様々な意見や要望を取り入れてきている。一気に大きな変化というのは難しいかもしれないが、今後も継続される1年1年の中で、常に前進する萌えゲーアワードであることは期待される。現在、萌えゲーアワード2017の投票はスタートしているが、今後も販売店やユーザーの意見を柔軟に受け止めながら、進化する萌えゲーアワードであることを期待したい。
 
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