ゴールデンウィークを中心に、例年、美少女ゲーム関連イベントが充実する春。今年も大会場を使用しての展示会や、複数メーカーが協力してのライブ、またメーカー単独のイベントも開催された。その中で特に目立ったものを、5月特集記事として掲載していく。3回目は、大型連休の最終日である5月7日に開催された「B.G.M.Live!!2017TOKYO」。新人から人気アーティストまで、美少女ゲームソングを歌うアーティスト11組が参加したこのイベントは、1000人近い来場者を集めた。2011年の開催から6年。「新人アーティストにアピールの場を提供する」「美少女ゲームソングで美少女ゲームを盛り上げる」、といったテーマにスタートしたライブイベントは、今では業界にも定着し、ファンにはなくてはならない催しになっている。そんなB.G.M.Live!!について、主宰のAyumi.さんにお話を伺った。ライブの現在や今後の展望、そして美少女ゲーム市場との関係まで。お話は多岐に及んだ。


 メーカーとアーティストをつなぐ架け橋としてのB.G.M.Live!!

──B.G.M.Live!!2017TOKYOが5月7日に開催されました。今回もたくさんの来場者を集めて盛り上がりましたね。

Ayumi.(敬称略/以下同):ありがとうございます。今回は他のライブイベントと重なったこともあって心配もしていたんですが、たくさんの方に集まっていただけてホッとしています。

──B.G.M.Live!!は2011年からスタートして6年になります。当初の目的として「新人・若手アーティストのお披露目」というテーマがありましたが、こちらは達成されていますか?

Ayumi.:そうですね。毎回関係者席に多くのメーカーさんをご招待して、足を運んでいただいているんですが、実際にB.G.M.Live!!でアーティストを見てオファーしたというお話も伺っていますし、「B.G.N.Live!!に出演した」というのをプロフィールに加えたことでお仕事につながったという声も聞こえてきています。そういうお話を耳にすると、やっぱり「やっていてよかったな」って思いますね。

──私も関係者席でライブを見させていただいていますが、確かにメーカーさんの姿も目立ちますよね。

Ayumi.:今回来ていただけたメーカーさんの数は、まだ確認できていないですが、ライブ後の中打ち上げでもいろいろなメーカーさんとご挨拶させていただきました。毎回たくさんのメーカーさんが来てくれているのもありがたいことです。

──関係者席でメーカーさんのお話を伺ったんですが、「自分たちではライブが開催できないから、こうして生演奏でファンの人に聴いてもらえることが嬉しい」と言われていました。

Ayumi.:そういう風に思ってもらえるのかあ。新鮮ですね、ありがたいです。B.G.M.Live!!は事前にセットリストを発表しないので、アーティストがどの曲を歌うのか本番までお客さんにはわからないんですよね。予想されている人はたくさんいますが(笑)。だから、もしかすると「この作品の歌を歌うなら行ったのに」という方もいるかもしれません。そこはお客さんにもメーカーさんにも申し訳ないところですね。

──たくさんのアーティストさんが出演されて、しかもメーカーの縛りがないライブならではの難しさですね。それにしても、これまでたくさんのアーティストが参加していますが、毎回キャスティングなどでは苦労されたりしていますか?

Ayumi.:基本的に新人さんのキャスティングに関しましては公募制にしているので、そこで名前の挙がらなかった人は入れていません。実は毎回30~40人の名前が挙がりまして、その上位から選んでいく感じですね。

──公募重視というのは面白い選び方ですよね。

Ayumi.:私も美少女ゲームソングが大好きなんですが、さすがに全部の作品を追うことはできません。特に新人さんはOPよりもEDや挿入歌で起用されることが多いので、ゲームをクリアしなければ聴けないものもあります。それならば公募という形で、皆さんの「聴きたいアーティスト」を呼ぶほうがみんな嬉しいですよね。

──その意味では、今回の出演者は初登場のアーティストが多かったのですが、これは?

Ayumi.:毎回、半分は初登場になるようにしているんですが、今回は確かに多かったですね。でも、これはたまたまです。初登場でもずっと活躍されていた方もいらっしゃいましたし。ただ、新人さんは毎回何組か出していきます。それがなければ、このイベントをやる意味がなくなっちゃうので。

──ちなみにB.G.M.Live!!の新人枠の基準というのはあるんですか?

Ayumi.:「デビュー5年以内」「持ち曲10曲以下」「単一メーカーでしか歌っていない」のどれかに当てはまることかなぁと思っています。実は、新人アーティストってだいたいこの3つのどこかで躓くんです。「ここから先に進むのに、どうしたらいいのかわからない」という人は多いんですよ。私も同じ経験をしたのでわかるのですが、そういうタイミングで諦めてしまう人も多いんです。そんな時にB.G.M.Live!!が何かのきっかけになればいいなって思います。

──先ほどちょっと話が出た中打ち上げですが、ここにメーカーが参加するのも、その理由のひとつなんですね。

Ayumi.:そうです。ステージで歌った後に、ライブを見に来てくれたメーカーさんと交流してほしいんです。これはベテランの人も同じなんですが、「萌えゲーばかり歌っているけど、実は黒パケを歌いたい」という人もいるかもしれないんですよ。実はハードな曲が得意だし好きだ、とか。そういうきっかけにしてほしい。美少女ゲーム業界でも交流会のようなものは開催されているんですが、歌手が呼ばれる場所ってまだ多くないんです。レコーディングの現場にメーカーさんが立ち会わないことも多いし、接点が少ないんです。なので、そういうメーカーと歌手との新しい接点になるといいな、と思っています。
 

 多くの新人がデビューした2016年。美少女ゲームソングのニーズは二極化

──そんな美少女ゲームソングですが、B.G.M.Live!!の前と後で、状況に変化はありますか?

Ayumi.:実はB.G.M.Live!!の前はデビューして何年かたったのに私が一番若手みたいな状況だったんです。それがここ数年で新人アーティストは確実に増えてきています。まあ、これはB.G.M.Live!!とは関係ないんですが(笑)。特に昨年、たくさんの新人アーティストがデビューしたんですよね。

──その意味では、美少女ゲームソングを取り巻く状況は変わってきているんでしょうか。

Ayumi.:やはり予算面で厳しくなっている影響が出てきているところはあるみたいです。それでも頑張ってくれているメーカーさんも多くて、そういうメーカーさんはゲームのイメージ作りや販促展開の中に「主題歌」というものを組み込んで考えてくれているんですね。その意味では、私の周囲のメーカーさんは変わっていないので、ありがたいんですけど。

──販促展開での「主題歌」の位置づけですか。

Ayumi.:以前は店頭で美少女ゲームのデモが流されていて、主題歌はプロモーションツールとしてもとても重要視されていましたよね。でも今は店頭でデモが流れる機会が減ってしまっています。その結果、主題歌のPR価値が下がっていると考えられてしまっているところもあるのかもしれません。とはいえ作る側のスタンスは変わっていません。それと音源化されることは増えましたし、ネット環境も15年前と比べれば格段に良くなっているので、頑張って作ったものがお客様の手に届きやすくなっているとも思うのですが。

──なるほど。

Ayumi.:楽曲のクオリティーも上がっているので、「美少女ゲーム音楽のオタク」というお客様は増えてきているかもしれませんね。ただ、それが作品のプロモーションになっているかといえば、別の話ですから。

──そういったあたりに違いが出てきているわけですね。

Ayumi.:その一方で2000年前後の状況に戻っている部分もあるんです。それはアーティスト力を求められること。「人気アーティストを起用することで盛り上げよう」といった感じのことなんですが、作品を知るきっかけとしてのアーティスト人気というのが、また求められているみたいなんですよね。

──メーカーとしては、ひとつのアピールポイントになりますよね。

Ayumi.:その一方で、理由は様々ですが主題歌アーティストにネームバリューを求めないところも増えてきているんです。その結果として、先ほどの話に戻るのですが、新人アーティストが増えているということもあるんですね。なので二極化しているといえると思います。その両端を、B.G.M.Live!!が繋いで行ければいいなと思っています。

──主題歌ということでもう一つお聞きしたいのは、近年メーカー主催のライブが増えているということです。
 

 夢はメーカーを巻き込むフェスティバル! メーカーライブ増加も大歓迎

Ayumi.:いいことだと思います。もっと増えてほしいと思っていますし、ライブのノウハウがないメーカーさんにはB.G.M.Live!!としてサポートできればと考えています。実際、何件かご相談も受けているんですよ。なので、「ライブに興味があるけれど、どうしたらいいかわからない」というメーカーさんはご相談ください。実際、もっとメーカーライブが増えればいいなと思いますし、「うちはちょっと難しいかな」というメーカーさんがライブを開催することで、出演できるアーティストも増えると思うんですよ。仲のいいメーカー2~3社さん集まって開催することもできますし。

──ゲームソングで美少女ゲーム業界を盛り上げる、というのはそういうことも含めてですね。

Ayumi.:最近常々思うのは、美少女ゲーム業界も20年以上の歴史があって、それを追いかけているファンもいるわけです。でも、20年前のゲームって簡単にプレイできないですよね。でも、歌ってすぐに聴けるんですよ。そしてゲームソングって、作品のお気に入りシーンの記憶のよすがになるんですよね。歌を聴くことでゲームの記憶がなくなることがない。そんな存在だと思うんです。そしてB.G.M.Live!!ではメーカーの制限がないので、B.G.M.Live!!でしか歌えない曲というのも出てくるんですよ。「最近歌っていないあの曲を15年ぶりに歌おうか」みたいに。そうなると「うわー」って倒れるお客さんが出てくるわけですね(笑)。もちろん最新の曲も聴ける。美少女ゲームソングという枠以外は自由というのが、このライブの良さなんです。大きなオフ会みたいなイメージ(笑)。メーカーライブがこれだけ増えたらB.G.M.Live!!はもういいかなと思うこともあるんですが、それでも続けたい理由なんです。

──そんなB.G.M.Live!!ですが、今後はこんな風にしていきたいという展望はありますか?

Ayumi.:美少女ゲームソングを歌っている人が「出たい!」と思って少し頑張ったら手の届くイベントでありたいんです。出ることで多くの人に知ってもらえる。新人の皆さんには、そんなライブだと思ってほしいですね。

──なるほど。

Ayumi.:それと、これは実際に今回のB.G.M.Live!!直前に夢で見たことなんですが、会場のSHIBUYA O-EASTだけじゃなく、O-Crestやduoなど、全部を使ってフェスティバル形式で開催したい。メインステージ、新人ステージを用意して、メーカーさんには物販スペースも提供する。そんなB.G.M.Live!!が夢に出てきたんですけど、それをbambooさんに話したら「できるよ」って軽―く言われました(笑)。いつかはそれくらいの規模のイベントにして、美少女ゲームソングとアーティストから美少女ゲーム業界を応援できるようにしていきたいと考えています。それが実現できるように、ぜひ皆さんに応援してほしいです。