PCPRESS時代には2月末発行号で掲載していた年間ダウンロード市場分析。少し遅れたが、GameHeadlineでも同様の記事を続けていきたい。取材にご協力いただいたのも、これまでと同様に主要ダウンロードサイトのDMM.com、DLsite.com、Gyuttoの三社。まずは昨年全体の印象について伺い、サイトごとのランキングデータを見ながら、2016年ダウンロードの主要タイトルを掲載していく。


 微増傾向続くダウンロード市場 単価も上昇傾向

近年、微増傾向が続いているダウンロード市場。コンピュータソフトウェア倫理機構の発表する発売本数の数字を見ても、2016年度昨年比は現時点で103%。年度集計のため、1~3月の数字はまだ揃っていないが、ほぼ同様の動きとみて間違いないだろう。ダウンロード市場は2000年代後半から成長してきた。当初は大量にある過去作をダウンロード販売することで飛躍的に数字を伸ばしてきたが、一通り揃った2010年以降は微増状態が続いている。伸び悩んでいるとも言えるが、パッケージ市場の縮小を考慮すると悪くない傾向でもあるだろう。
 
2016年のダウンロード市場全体の印象を、主要ダウンロードサイトのDMM.com、DLsite.com、Gyuttoの三社に伺ったところ、やはり「微増しているのでは」と口を揃えており、また各サイトの数字についても、似たような反応だった。
「本数としては増えていますが、何よりも2016年は単価が上がりました。少しずつ上がっていて一昨年は7000円くらいだったのが昨年は8000円程になっている。パッケージと同時発売のタイトルが増えたこともありますし、ユーザーさんは高いクオリティやボリュームを求めていて、それが期待できる作品であればパッケージと同じ価格でも購入するようになっていると感じます」(DMM.com・鈴木氏)
「販売本数も金額も伸びていますね。ユーザー数も順調に伸びて、今年は100万人に到達すると思います。ロットアップしている作品等も多いのですが、新作ではなく古いタイトルになると、半額セールス等の影響もありますが、本数的にはダウンロード比率は4割くらいになっている感覚です」(エイシス・河邊氏)
「昨年比だと、ほぼ同じくらいでしょうか。数年前に始めたゲーム音楽の販売も好調で、そちらからのユーザーも増えています。ゲームを遊んでいない人もいて面白い動きになっていますね。新しい導線は常に考えていて、他にもいくつか検討しています」(Gyutto・高橋氏)
 
続いてダウンロードサイトごとに、2016年の傾向について伺った。
DMM.comではandroidでの展開が成長している。
「数年前から始めたandroidでの販売が伸びました。スマートフォンでの展開は価格をおさえる必要があり、最初は低価格ソフトが中心でしたが、単価は少しずつ上がって今のメイン価格帯は4000円くらい。パッケージ・ダウンロード・androidと同時販売した『オトメ・ドメイン』(ぱれっとクオリア)はパッケージと同じ7340円での販売でしたが売れました。androidでは萌え系のゲームが強くて、これから増えていくと思います。抜きゲーを強化していのが今後の課題ですね」(鈴木氏)
昔はダウンロードで売れるのは「抜きゲー」で「低価格」とのセオリーがあったのだが、android市場では全く別の動きになっているのが興味深い。PCではなくスマートフォンでのプレイのため、若いユーザーが多いことも影響していそうだ。
 
Gyuttoでは一般系の販売サイトでも行われているクーポンが好調。
「美少女ゲーム系ではあまり見られないのですが、楽天等の一般向けの販売サイトではクーポンによるキャッシュバックのサービスがあるんです。それを導入したところ、想定以上に手ごたえがありました。告知メールを送ったところ、数年ぶりにサイトにきたユーザーさんもいて、苦労してシステムをつくった甲斐がありましたね」(高橋氏)
DLsite.comでは同人ユーザーや、ソーシャルゲームからの誘導が安定していた、とのこと。
「以前の取材でも何度かお話しましたが、ソーシャルゲームと連携してのキャンペーンは新規層に繋がったと思います。同人ユーザーが多いのはウチの特徴ですが、今年のランキングを見てもその傾向が出ていますね。あと『カスタムメイド3D2』(KISS)はどのサイトでも好調ですが、弊社では前作からヒット商品で、その流れが大ヒットに繋がっているとも感じます」(河邊氏)

 強い存在感を示した『カスタムメイド3DS』とアトリエかぐや

後述するサイトごとのランキングの通り、サイト毎に売れ筋は異なるのがダウンロード市場だが、共通して売れたタイトルも存在する。それが先ほども話題に出た『カスタムメイド3D2』で、DMM.comでは2位、DLsite.comでは1位、Gyuttoでは6位にランクインしている。特にGyuttoでは月間ランキングで、ほぼベスト10に入っていなかっただけに、印象的な結果となった。
「毎月売れていたのですが、ギリギリで10位以内なに入らないとか、そういう月が多かったですね。集計してみてちょっと驚きました」(高橋氏)
ダウンロードの販売数は、半額等のセール期間に伸びることも多いのだが、『カスタムメイド3D2』は「一度もセールを行わずにこの本数を記録しているのは凄い」と、各サイトは口を揃える。
「月間ランキングでも一度もトップ10から落ちたことはないです。定期的に色んな追加データが展開されますが、どこか一つ引っかかると本編を購入したくなる。幅広いユーザーに訴求できるこの仕組みは強いなと思います」(鈴木氏)
「本編が1位、追加データ『カスタムメイド3D2+』が2位と並びました。両方購入していく人は多いですね。弊社では前作『カスタムメイド3D』の頃から“カスタム”要素が好評でしたが、クオリティが向上して、それがさらに伸びている印象です」(河邊氏)
 
もう一つ、共通して売れたのが『アトリエかぐや15thアニバーサリーパック』(アトリエかぐや)。期間限定タイトルのためサイトからはなくなっているが、リリースされた11月は、弊紙で月間ランキング記事を制作するようになってから、初めて全てのサイトでトップをとる作品となった。
「ランキングページからはなくなっていますけど、数字を見るとあのわずかな期間で4位に入ります。アトリエかぐやさんは人気ブランドながら、あまりセールはやらないんですね。それがブランド設立15周年にかけて、15本のタイトルを1.5万円で販売したところ驚くほど売れました、ランキングもアトリエかぐやさんのタイトルだらけになって壮観でしたよ」(鈴木氏)
「アリトエかぐやさんは以前から人気がありますが、平日スタートにも関わらず最初から勢いがあって、改めて人気を実感させられました」(河邊氏)
「正直、セット商品ってもうやりつくしたというかユーザーも食傷気味かなと思っていたんですけど、まだ全然やれるというか、自分たちがユーザー感覚を忘れているんじゃないかと感じさせられました」(高橋氏)
それでは次ページから、ダウンロードサイトごとのランキングを元に振り返っていく。