美少女ゲームメーカーが出展する大会場を使用してのイベントはコミックマーケットの企業ブース、電気外祭り、charater1の3種類だ。そしてその3イベントとも、変化のときを迎えている。コミックマーケットは東京五輪の影響から会場の仕様が変わり、電気外祭りは長年使用していた会場を今夏変更、そしてcharater1は代表が今年から交代となった。その変化はイベントにどのような影響を与えていくのか。それぞれの担当者にお話を伺い、3週連続で掲載していく。三回目は「電気外祭り」。


 役割が変わり重要度の増してきた電気外祭り 会場はベルサール新宿から都産貿に

過去にはいくつかの会場変更があったものの、近年はベルサール新宿での開催が続いていた電気外祭り。来場者数も安定しており、周辺地域に迷惑をかけない運営実績も継続。コミケ前、夏冬のイベントとして定着した感があったのだが、今夏は会場が浅草の東京都立産業貿易センター(以下、都産貿)に変更となった。
「会場を管理している会社の上層部の方が『エロは駄目』って急に言い出したようです」

イベントを運営しているminori代表取締役・酒井氏は会場変更の理由を次のように語る。
「これまで何の問題もなくイベントを運営してきて、周囲や管轄や現場の人ともスムーズにやってきたにも関わらず、急にNGになりました。イベント運営をやるようになって初めて知ったことですが、独自の正義感を振りかざす人が世の中には一定数いて、イベントを開催することに対してさまざまなクレームを入れるんですよ。やはりそういった声を無視できないのは仕方の無いことかもしれません。僕らは合法なものを更に細心の注意を払って自主規制を行って、きちんと税金も納めて企業活動をしているんですけどね(笑)」

この一件が起きたのは昨年9月。すでに12月の開催分については契約をすませていたためそのまま開催されたが、今夏は新たに会場を探す必要が出てきた。
「電気外祭りは、朝に並ばれる方と会場のキャパシティから10,000人程度の来場と見ています。この規模のイベントが開催できる都内や近郊の会場……となるとかなり限られてしまうんですね。ホールだけで1,400㎡、列を並べたりすることを考えると周辺をあわせてだいたい4,000㎡くらい必要なんです。今回の都産貿は1フロアが1,300~1400㎡。3フロア使用可能だったので対応できました」

5階を会場にし、4階・6階に待機列を配置する今回の運営は、階段の一部を一方通行にするなど交通整理がされ、上手く人の流れを作っていた。
「このアイディアは大平さんから出されたものです。最初は6階が会場で4・5階を待機列にしていたのですが、上下に分けた方がいいんじゃないかと。当初二日借りられたのが6階だったのでこうしていたのですが、都産貿の方に交渉して5階を2日お借りできることになりました。この会場ではとにかく外に列を作りたくなかったんです。周辺からのクレームが多いとは聞いていましたし、夏なので熱中症など健康管理の問題もあります。また、暑い場所に長時間並ぶのはもっともストレスがかかります。ここは都産貿の方に理由を説明し協力していただいて、最初は9時開場というところをできるだけ早めにというお願いをしたところ、最終的に7時に開けていただけました。どの開場でも現場の方は周囲とのトラブルを避けたりして、安全確保に非常に協力的だと思います」

 特別な体験ができる場所としてのイベント

イベントに参加しているメーカーには周知の話だが電気外祭りは、ギリギリ黒字と伺っているが、酒井氏のポケットマネーで運営されている。取材をしても、また様々なお話を伺っても感じることだが、酒井氏のバランス感覚で上手く回っているイベントという印象もある。ただ、1メーカーが業界全体に関わるようなイベントを運営している状況は、健全とは言えないだろう。
「これだけのメーカーが参加するイベントですから、資本は流通会社や倫理団体協賛して持つのが筋だと思うんですよね。いわば振興イベントなのですから。ですが、何回か話をしたのですが、いつもはぐらかされてしまう(笑)」

また数年の運営を経てイベントに求められるものが変わってきた、とも実感している。
「最初はコミケの企業ブースに落ちたメーカーが集まって、救済の意味も込めて始めたんです。ところが企業ブースに別業種の大きな会社が出展するようになり、全体としても美少女ゲームメーカーのエリアは小さくなり、さらに出展費や開催日数などの問題も重なって、中堅メーカーあたりからは出展がきつくなってきたと思うんです。その結果、電気外祭りしか申し込まないメーカーが増えてきました。いわば棲み分けになり、一日前に開催する『美少女ゲームに特化したイベントとして』共存できるようになったと思います。ですが、ありがたいことではあるのですが、ここのところ、申し込みメーカーが増えていますので、もし、これ以上となるならば、また別の会場を探す必要がでてきます」

電気外祭りは今回紹介している他イベントと比べると規模は小さいが、この規模だからこその意味と重要性も指摘する。
「業界全体の売上は下がっていて、今後も大幅な上昇は望めない。そんな中で、自らのユーザーに満足を与える商売をしないとだめと考えています。ファンにとって嬉しいグッズはもちろん、会場でスタッフと話ができることも特別なことです。電気外祭りでは周辺とのトラブルを避けるため、開催前の早いタイミングからユーザーさんを会場内に入れるのですが、これを逆手にとって、ブースを準備しているメーカーの人が見られるようにしました。これはすべて、ユーザーさんにとって特別な体験をして欲しいと考えた結果でもあります」

酒井氏は"体験商売"と語っていたが「minoriの地方営業ですでに行っていることであり、また源流をたどるとねこねこソフトの片岡氏が足で稼いでいたこと」とも続ける。
「minoriでは新作の発売前にファンミーティングみたいなことを全国の店舗でやっています。最初は普通に営業をしていたのですが、最近は検討のために店頭イベントに集まるのではなく、ソフトの情報はWebやTwitterで調べ、もう買うと決めた人がいらっしゃることが多いので、当日は実際にスタッフに会って話せる特別な1日を設定するようにしました」

特別なことが経験できる場所としての電気外"祭り"。小さなメーカーでも参加しやすく、また大手メーカーがそれを支える環境も考慮されている。会場の問題については色々と書けない話も聞かせていただいたが、この規模ならではのイベントを今後も期待したい。